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藪の中 1 射命丸文の友人からの事情聴取 ええ、文ですね。たしかに○○さんに対しては、とても気に掛けていたようです ね。現在Nのところで「保護」されている××さんが切っ掛けで、○○さんが幻想 入りした時もとても気に掛けていて、椛から連絡を受けた時にも直ぐに駆けつけて いた位ですから。さすが、幻想郷最速の名前は伊達ではないですね。 そうですね…確かにちょっと度が過ぎている感じは無くもないですね。以前は 仲が良かった椛とも、結局それが原因で揉めてしまいましたし…。 でも、文はいい奴だったんですよ。普段はおちゃらけている風を装っていますが、 本心はそんなのではなくて、熱いといいますか、何と言いますか、私達記者は事実 を追いかける事を仕事にしていますけれど、文は特にそれが強いと言いますか、 私ならとっくに諦めるようなことにも、諦めずに追求して最後にはスクープを挙げ ることは何度もありましたし…。 ですから、あの文があんなことになるなんて信じられません。まさか永遠亭で強 制入院になってしまうなんて…。しかも大分酷いと永琳先生からは伺いまして…。 どうやら椛と一緒に居たことが、余計に症状を悪化させてしまったなんて…。 いえ、いえ、別に上の方を非難している訳ではないのですよ。随分稀なケースだ ったらしいですので。実は私としても罪悪感といいますか、二人の間に居たので、 何かもう少し出来たのでは無いのかと思いまして。本当に残念でなりません…。 2 犬走椛の担当看護師に対する聞き取り調査 地下202号室の患者さんについてですか…。ええっと、椛さんですね。確かに 私が担当しておりますよ。24時間交代で担当の因幡がいますが、私はそれを統括 する立場ですね。実際の診察は師匠がやっていますので、私は患者様が興奮した時 にそれを抑えることが主な役目ですね。 最近ですか…。そうですね落ち着いてはきていますが、相変わらず妄想の症状が 有りますね。○○さんという外来人の方と恋仲になっているという妄想ですね。 たしか師匠が言うには恋愛妄想は、誇大妄想の次に難しい症状らしいですから、こ とによると、完治には非常に長い年月が掛るかと…。 人間でも長い方では、外界では10年単位で入院される方がいるらしいので、妖 怪となりますと、100年単位で掛るかもしれませんね。月の方でも恐ろしく長い 間に渡って、発作を起こされている方がおられますし。 え、薬物ですか…。いえ、全くそのような兆候は有りませんでしたよ…。ええ、 永琳先生自らが担当していらっしゃったので。そのようなことは全く有りません。 全く酷い言いがかりですね。確かにそのような精神に悪影響を与える薬物はありま すが、それは大変デリケートなものですよ。ええ、絶対にそのようなことはありま せん。唯の妖怪が適切に、そのような薬品を使用することは出来ません。「唯の」 妖怪では絶対にです。 あら、師匠に姫様ですね。お揃いでいかがされましたか…。その方を地下資料室に ご案内ですか…。ええ、分かりました、仰せの通りに致しますね。それではちょっと 失礼しますね。私の目を見て下さいな…。 3 外来人○○に対する取り調べ はい、私が○○です。職業は外来人です。え、それは違う?そうですか…。以前の 世界では学生をしておりましたが、最近此方の世界に取り込まれまして。たしか幻想 入りと皆様は仰るんでしたっけ。 そうです。確かに私は文様と椛様から保護されておりました。それに相違は御座い ません。お二人とも私に対して非常に強く思われていた、掻い摘んで言えば執着して いたこともまた事実で御座います。 どうして二人がああなったかですか…。貴方も分かってらっしゃるんでしょう?! あのお二人が修羅場になったからですよ!修 羅 場 ! ええ、すいません取り乱してしまいました。申し訳御座いません。私が二人とも受 け入れたことが原因だと…。たしかにそうですね。でもそうするしかなかったのです よ…。唯の外来人が、人外の怪物に敵う訳ないじゃないですか…。貴方も知っている んでしょう…。監禁、拘束、暴力、薬物、どうあがいてもこれじゃ無理ですよ! ねえ、貴方達天狗はこうすることが当たり前なのですか!人を監禁して、無理矢理 ×××して、抵抗すれば殴って!もう、嫌なんですよ、あの生活は…。 うわぁ!御免なさい!すみません!スミマセン! 4 花果子念報記者による当部署への抗議について 全く、何をしているかと思えば○○さんが怯えているじゃないですか…。一体どん な無茶な事をしたのですか。幾らあのお二人に色々あったからといって、こんな事は 断固抗議します。今すぐこの件について手を引いて下さい。 何ですか…?私を見てから○○さんが怯えたと…。言い掛かりも甚だしいですね。 私はただ、可哀そうな○○さんを保護しているだけですよ、「保護」です。全く、 貴方達が色々しっちゃかめっちゃかにしているのは、こっちの耳にも入っているんで すから。先程も永遠亭から、調査から帰った天狗が迷いの竹林で死亡していたと連絡 が入りまして、私が「わざわざ」応対していたのですよ。 そういう訳で、これ以上は何も無かったということで。お二人は偶々運悪く、体調 不良の為に長期療養ということになったと、ついさっき大天狗様からの決定が来まし たから。はい、この書類ですよ、しっかり印が有るでしょう。 まあ、結局真相は外来の小説にあったように、藪の中と言う訳ですよ…。 ええ、永久にそう「なる」んですよ。
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永遠亭で過ごすようになった○○。 彼は幸せである。 朝、○○は息苦しさと圧倒的な快楽で目覚める。 永琳によって彼は口腔を嬲り尽くされ、同時に彼女のさらに奥へと誘われる。 寝起きの身体に我慢は出来ず、そのまま○○は永琳の胎内へ本能のまま放つ。 彼の身体に解放感が走り抜け、倦怠感に身体が支配される刹那、再び彼女によって獣欲に火を灯される。 ○○は永琳を抱く事によって、彼女へと己の存在を刻む。 彼自身を何度も何度も叩き付けるように、抑えの効かない劣情を彼女へとぶつけ続ける。 永琳は、彼の望むままに抱かれ犯され汚され貪らせて、その度に彼を優しく包み込む。 その中で彼女は、○○の身体も心も魂も存在そのものも、彼女へと浸食させて行く。 久遠の時の中で永琳という存在を忘れさせない様に。 二人は部屋に籠り切りで食事を取る。 二人の食事風景は、肝の据わったてゐですら目を背ける程の光景が広がる。 ○○が横から永琳の胸に抱かれる態勢で、食事は始まる。 永琳が毒見を兼ねて食事を口にし、安全を確認しつつ噛み砕いた後、口移しで○○へと与える。 口が重なっている間は舌を絡めながら、その味と繋がりを楽しむ。 時折、狂おしく口を塞ぎ互いの舌を絡め、混ざった唾で喉を潤す。 互いの食欲と色欲への渇望が満たされるまで、二人だけの狂宴は続く。 ○○は普段、屋敷から出される事は無い。 唯一の例外は、永琳と共に薬を卸に人里へ向かう時に外出する時だ。 強制的に連れ出されると言った方が正しい表現だろうか。 姫様や鈴仙やてゐ、他イナバの誘いから遠ざける為である。 永琳は必ず○○の腕を取り、その肩に顔を寄せ恍惚の表情で並び歩く。 人里に到着すると彼女は、全ての女の動向をつぶさに油断無く観察する。 彼に近寄る女は居ないか、永琳の意識は研ぎ澄まされる。 行き過ぎた警戒をする永琳の気苦労は絶えないが、その顔は淀んだ誇りに満ちている。 夫婦は常に一緒の存在であると、彼女は強く深く妄信している。 永琳だけが○○の服を洗濯する。 まず洗う前の彼の服全てに顔を押し付けて匂いを嗅ぐ。 そして必ず二人の服を一緒に洗う。互いの匂いを混ぜ合わせるように。 ○○の服も全て永琳が直す。彼女の長い髪を糸にして。 洗濯や裁縫を行っている彼女の顔は、実に幸せそうに見える。 彼への狂的までの独占欲が、近づき難い異様な雰囲気を漂わせているのだが。 風呂へも必ず二人で入浴する。 ○○の着ている服は、永琳がゆっくりと一枚ずつ丁寧に脱がせて行く。 また、永琳の着ている服も○○が脱がせる。 浴室に移るなり、激しく口づけを交わし互いの口腔から清めていく。 ○○の舌が永琳の口から解放されると、唇をなぞり首筋へと這わせる。 切り返して下り、鎖骨を優しく撫でた後は、腋に顔を埋めて舌の腹でねっとりと撫でる。 それから主張の激しい膨らみへと進み、ほのかに色づいた先端の周囲を何度か回り焦らす。 身体の鼓動がより大きく伝わり、切ない息遣いが漏れると同時に乳を吸う。 少しの間甘えつつ柔らかさを堪能したら、お礼代わりに舌で乳首を突き、転がし、嬲り尽くす。 名残惜しく先端にキスをして油断させた所で、もう一つの乳房に思い切りしゃぶりつく。 再びたっぷりと甘えた後、今度は胸の谷間に顔を埋め、そのまま下へと舌を伝わせて行く。 臍の周りをゆっくりとくすぐり、下腹部に頬ずりをする。 それを合図に先程から濃厚な女の匂いを発し続ける場所へと誘われ、そこを口で塞ぐ。 その割れ目を舌で押し開き、奥から溢れ続ける淫らな果汁を掬い上げて啜り、吸い上げる。 嬌声が上がり、女は男の頭をそのしなやかな太腿で強く抱く。 互いの存在を感じ激しく揺すり合い、雌が身体を大きく仰け反らせ、雄は吹いた潮を口付けて全て飲み、その脱力した身体を駆け上がる。 そして欲望で膨らんだ己の象徴を、無防備に晒された雌の胎内へと有無を言わさずに突き立てる。 胎の奥までしっかりと咥え込ませ腰を打ち付け、奥へと誘う雌の身体を可愛く想いながら、雄は快楽を貪る。 それこそ、女が望んでいた事と気付かないままに。 互いの体液に塗れ互いの色を混じり合わせて、心身へと染み込ませながら。 夜は夫婦の時間が優先される。 退屈を飽かした姫は、外に出かけて殺し合いで発散する。 遠慮がちな弟子に心配は無く、狡猾な兎は先の事を考え損得を計る頭がある。 つまり○○と永琳は周囲を憚る事無く、子作りを出来る環境にある。 そして、○○も永琳も子供を欲している。 きっと、二人の間に子供が生まれたならば、この異常な環境も少しはマシになるかもしれない。 蓬莱人が『後継者を必要としない存在』である事に○○が気付くのはいつの事だろう。 だが気付いたとしても、この鎖を○○は断ち切る事は出来るだろうか。 愛おしい妻の切実な想いなのだから。 永遠亭の縁側で永琳に膝枕された○○が、耳かきをされている。
https://w.atwiki.jp/toho_yandere/pages/1365.html
映姫スレ/13スレ/506 の続き 「よくも騙してくれたわね!この淫婦がぁ!」 目の前には革手錠で拘束され、そのいきり立った慾情の塊を映姫に貪られ続ける○○の姿があった。 「幽香・・・頼む見ないでくれ・・・こんな姿・・・・ううっ」 「おや?誰かと思ったら罪人の花妖怪ではありませんか?生きている存在が是非曲直庁に来ることも罪悪ですよ?」 「そんなことはどうでもいい!!○○を返しなさい!」 ○○の妻である風見幽香はその手に妖力を集中させる。 「あなたがそのつもりなら・・・・」 全身から淫臭を未だ放つ映姫は冷たい表情で手を振る。 「ぐぁぁぁぁぁぁぁ!」 「○○!どうしたの!」 見ると○○の姿が少しずつ消えていく。 「言ったでしょ?○○はあなたの罪を償うために自発的に娼夫になって私に奉仕をしているのですよ。あなたの罪は即消滅を命じていいほどのものです。」 「畜生!これが閻魔のやることか!」 「あなたが罪を償いたいなら・・・・そうですね」 映姫は涙を浮かべ○○を抱きしめる幽香を、獰猛な笑みを浮かべながら見つめていた。 是非曲直庁 いまでは使用されていないが、罪人に自白やさらなる余罪追及のため古今東西の拷問具が用意された部屋がある。 映姫は○○との性活に充実させるために、この部屋を私的に使用していた。 映姫の腕に納まった鉛を込めた鞭が幽香の白い肌に振り下ろされる。 「ひぐぅ!ひぎぃぃぃぃぃ!」 「ふふっあなたのような汚れた牝でもいい声で鳴くのですね」 「下らない話よりも・・・早くぶちなさい・・・それで○○が帰ってくるなら・・・」 再び鞭が振り下ろされる。 「あがぁぁぁぁぁ!」 「帰ってくる?あなたのような汚れた罪人が汚れなき○○を独占するなど許さない!」 「もう・・・・もうやめてくれぇぇぇぇぇ!」 ○○が背後から映姫を抱きしめる。 「○○さん?まるで私が悪人のような物言いをするのですね・・・この牝が自分で罪を償いたいっていったのですよ?」 「俺がいつものように奉仕する。だからもうやめてくれ・・・・」 「だ・・・駄目・・・・私は妖怪だから平気だから・・・」 「麗しい夫婦愛ですか?ええ、やめてもいいですよ。あなたがこの牝の前でいつものように奉仕してくれれば」 ○○は服を脱ぐと映姫と唇を重ね、その指を服の下に滑り込ませた。 幽香は涙を流しながら、勝ち誇ったように喘ぎ声をあげる悪魔を声なく見つめていた。 「また貴方ですか?善行はどうしたのですか?」 「閻魔とあろうものが魂の質を見誤るとはね」 映姫が何時も以上に不敵な幽香をみると、みるみる表情が変わっていく。 「あ・・・貴方!なぜ人間の魂を持っているの!」 「私の知り合いに境界を弄れる妖怪がいてね。人間になって今までの罪を清算してきたわ。」 「自殺は害悪です!」 「自殺?私は公平な裁判で死刑になり縛り首され此処にいる。つまりは罪を償ったことになる。さぁ、私と○○を輪廻の輪に乗せなさい!」 「ありえない・・・・ありえない!消えなさい!!!!!!!!!!」 「無駄よ!」 「あなたが我が物のように使う浄玻璃の鏡。他の十王も持っている。つまりは貴方の職権乱用や、裁かずに魂を消滅させようとしたことも見ている」 「嫌よ・・・・嫌ぁぁァァァァァァ!○○を渡したくないぃぃぃぃぃぃ!誰か!誰かこの妖怪を消して!お願い!!!!!」 零落した王を助ける者など誰もいなかった。 幻想郷 人里より少し離れたところにある花畑。 まるで我が子のように花々を世話をする緑髪が眩しい妻と、ひたむきに妻を愛する養蜂家の夫。 生まれも育ちも違う二人はまるで、「前世」がそうであったかのように夫婦となった。 彼らの家の近くには何時からそこにあるのか、古ぼけた地蔵が一尊。 風雨に晒されたその面立ちは崩れ、絶えず涙を流しているかのようだった。
https://w.atwiki.jp/toho_yandere/pages/2844.html
タグ一覧 切り札はいつだって悪手シリーズ 標準的なヤンデレ 魔理沙 夜が深くなり幻想郷が暗闇に包まれた時、人里の中心でもそれは同じであった。明治の時代になったといえども電気は未だに普及しておらず、日の光が落ちた後に行く道を照らす物は、 己の持っている灯か上空に輝く月だけである。住人が寝静まった街並みを○○が一人歩いていく。荷物を持たずに手にはライトだけをを持っていた。 提灯を使わずに外来品のライトを使っているのは、ハイカラ好きの金満家か外来人だけであろう。 街の中であっても現代とは比べ物にならない程に通りは暗く、それ故に人通りは既に絶えていた。周囲に人の姿は見えない中、自然と○○の足取りは速くなっていた。 突然○○の前に人が現れた。路地からのそりと通りに姿を見せた影は、そのまま○○の方に近寄って来る。良くても不審者、悪くいけば腹を空かせた妖怪のお出ましに○○の足が止まる。 相手の方を向いたままジリジリと後ろへ下がる○○。下がった分だけ前の男二人が距離を詰めてきた。後ろを振り向いて逃げだそうとする○○。すると、さっき通り過ぎた家の横から更に二人の男が道に出てきた。 丁度前と後ろを挟まれた形となってしまい、壁際に追い詰められる○○。 「おい、痛い目見たくなけりゃありったけの物だせや。」 闇夜に男の低い声が響く。凄みを効かせるかのように二人が懐から何かを抜き出した。暗い夜の中でも、いや、光が殆ど無い中でこそ僅かな灯りによってチラチラと反射する光り物が存在感を見せていた。 「お前、外の人間だろ。外来人がタップリと溜め込んでるのは知ってるんだよ。」 男が腕を振りかぶり、○○の頭に重い衝撃が走った。視界にピカピカと火花が瞬き、思考が乱れる。そのまま何度が顔に拳を喰らった○○が、たまらずに壁にもたれるようにズルズルとへたり込むと、 今度は足が飛んできて自分の腹に吸い込まれていった。 「うぐっ」 声にならない呻き声をあげる○○。体が痙攣して胃袋からせり上がってきた液体が周囲にまき散らされた。ヨロヨロと懐から小物を取り出す○○。 頭からぬるりとした血が滴り、口の中に鉄の味が染み渡っていった。 「いい加減にしろよな…。始めっからそうやって出せば良いんだよ。」 ○○から物を取り上げようとする男。抵抗したから殴ったといわんばかりの台詞であるが、抵抗しなければ殴らないとは言っていないところに、この男達の本性は隠されているのだろう。 ○○の持っていた物を掴む男。大事な物なのであろうかそれから中々手を離さない○○を、もう一度蹴りつけようと足を上げると、途端に辺りに光と音が降り注いだ。 「うわぁっ!何だこりゃ!」 「目が潰された!」 昼間でも十分な目つぶしとなる程の光が、暗い明りに目が慣れていた夜に炸裂したものだから、男達にとっては堪ったものではない。光を一番近くで見ることとなった男は卒倒し、 目を押さえて体をくねらせるが白くなった視界は一向に戻らない。刃物を構えて後ろに陣取っていた男二人が、涙が流れる目を片手で押さえながらも、仲間の敵とばかりに刃を振り上げて襲ってきた。 ○○が手に持ったミニ八卦炉のスイッチを連打する。震える腕で撃たれた光線はホーミング機能でもついていたのだろうか、無機質な音が二度鳴ると見事に襲ってきた男二人を貫いていった。 男達が刃物を落とし倒れ込む。地面に落ちた小刀が乾いた音をたてた。三人が次々と倒されてしまい瞬く間に形勢が逆転したことを知った残った無事な男が、仲間を見捨てて逃げ出していく。 後ろ姿を見せて脱兎の如く走り出した男に向けて○○は炉のボタンをを押したが、光線はカーブを描き、目を押さえて倒れている男の足の肉を抉り取っていた。ビクリと男の足が跳ね上がる。 昔外界で学校に通っていたころに見た、蛙の実験に似ている気がした。男達から受けた傷と何度も撃った弾幕のために、○○の腕はすっかり力が入らなくなっていた。 ○○の狭まった視界の中で地面が波を打つように揺れている。重くなった八卦炉を支えられずに○○は腕を下ろした。 大きな音に驚いた辺りの住人が、次々と戸口を開けて通りに姿を見せていた。後ろに控えさせた家人に提灯を持たせ、寝間着を着たままの主人が○○達の方に注意深く寄ってくる。 暗い中に血だまりが浮かび上がると主人の口から驚きの声が漏れた。 「ひぇっ、こりゃ酷い!」 「死んでいるのか?!」 駆けつけた他の住人が声をあげる。主人が倒れている男の肩を恐る恐る揺さぶるが不気味な程に反応がない。力が抜けきった体から、止めどなく血が流れるのみであった。 「うわぁ…これは死んでるんじゃないか…。こいつ。」 「こっちの男も動かないぞ、こりゃあ駄目だな…。永遠亭まで持ってっても、もう無理だ。持たない。」 「こっちの方は無事だ!足から血が出てるから縛る物を持って来てくれ!大丈夫か、しっかりしろよ!」 「殺しか!おい、お前、動くなよ!」 住民達が倒れている男達を見ていくが、ライトを持っていたために外来人だと一目で分かった○○に対しては、隠しきれない敵意に似た感情が見て取れた。 まだ息がある男の足を縛り介抱をする住民達。しかし○○に対しては何も手当がされずに、放置されているばかりかむしろ逃げ出さないように監視されている始末であった。 力なく地面に腕が投げ出されていたが、それでも八卦炉だけはしっかりと手のひらの中に持っていた。欲しい物が買えない子供が癇癪を起こしているかのように、決して離さないようにしているそれを偶々目にした者がいた。 「この紋様…霧雨の娘さんの物じゃないか…。」 「-!!!-」 空気が見えない音を立てて揺れた。何か決定的な歯車が噛み合わさり、金属が軋む音をギリギリと鳴らしていくかのように、周囲の人の表情が潮を引いたかの如く変わっていく。 「するとおい、この人は若旦那ってことじゃ…。」 一人がポツリと漏らした言葉。疑心に囚われた住民の心に生まれたさざ波が、大波を産むのにさほど時間は掛からなかった。 「若旦那!大丈夫ですか!」 「若、酷い怪我で。あいつらにやられたんですか!」 「家から布と水持って来い!ありったけ持って来い!」 「お前は今すぐ霧雨さん家に行くんだ!早く!慧音先生の所にも誰か!」 「先生が来てくれれば永遠亭まで行けますんで、もう少し辛抱して下せい。」 先程とは打って変わり皆が○○の方に寄ってくる。一人の女性が布を頭に当て、滲み出る血を押さえた。見る間に黒く染まっていく布。 ついさっきまでは生きている男を介抱していた村人まで、今は○○の方に注意を向けていた。 「こいつらが若を襲ったんですね!」 「なんて野郎だ…。」 「この…、屑野郎めぇ!」 「ちょっと待て、後にしとけ。今は若旦那の方が先だ。」 手の平を返すとはまさにこの事か。倒れている男に殴りかかろうとする若い住人を隣の中年の男が押さえ込む。○○へ最初敵意を見せていたことへの反動も相まって、現場は異様な興奮が充満していた。 空から星が落ちてきた。突然に上空で何かが光ったかと思うと、それは見る間にこちらに向けて飛んでくる。流れ星のように尾を引いて、どんな星よりも速いスピードでその星は空を飛んでいた。 どんどんと大きくなってきた光がこちらに向けて落ちて来る。地面に大穴を開けるのではないかと思う速度で星は○○の元へ墜ち、光が収まるとそこには魔理沙が居た。 寝起きであったのであろうか、いつもの西洋風の魔女服ではなくマントに似た外套を一枚羽織り足は靴すら履いていなかった。乗ってきた箒を無造作に離し、○○の方に駆け寄る魔理沙。 周囲にいた村人が魔理沙のために体を避けた。 「○○、大丈夫か…?」 「ああ…。」 「良かった…。」 「やはり、こちらの方は若旦那様で…?」 恐る恐る魔理沙に尋ねる住人に、余所行きの声音で魔理沙が答える。 「ええ、この人は私の連れで御座います。皆様に手当をして頂いたようで。」 「勿論です!この男共が若を襲ったようでして。今先生を呼んでいますのでもうすぐ永遠亭に運べるかと。」 「いえ、私が運びます。そちらの方が速いので。皆様にはすみませんが上白沢先生が来るまで、ここで待って貰ってもよろしいでしょうか?ウチの人を襲った犯人もいるようですし。」 「どうぞどうぞ!」 「それでは失礼します。皆様には後日お礼致しますので。」 ○○を箒に乗せて空中に飛び上がる魔理沙。空中に浮かぶ際に魔理沙の視界の端で、村人が乱暴に男を縛りあげているのが見えた。 まどろみの中で声がする。魔理沙の声と若い女性の声。何やら話しているようだがハッキリと聞こえない。誰かが治療してくれたのだろうか、体に違和感があるものの、 あれほど痛めつけられたのに痛みが殆ど無い。起きなくては、義務感にも似た気持ちから目を開けようとする。魔理沙の声がする。海から引き上げられるようにして○○が目を開けると、魔理沙が自分をのぞき込んでいた。 「大丈夫か、○○。」 「うん…大丈夫だ。」 「良かった…。○○の目が覚めなかったらどうしようかと思って…。」 魔理沙が○○を抱え大粒の涙を流す。静かな病室の中で○○は静かに魔理沙の胸の中で抱かれていた。 「お二人さん、良いムードの所悪いんだけれど、ちょっといいかしら。」 部屋の外から声がした。先程の女性とは違う声だった。 「永琳、ちょっと待ってくれ。」 魔理沙が○○の顔に布を巻き付けて目隠しをする。○○が魔理沙に訳を尋ねるが、手早く魔理沙は布を巻いてしまい、自分の付けていたピンで留めてしまった。 「大丈夫だ。」 外にいた女性が入って来た気配がした。先程の女性ともう一人…恐らく二人だろうか。 「ずいぶんな歓迎ぶりね。これでも一応医者よ。」 「若い○○の目には毒だぜ。入院して動けなかったんだし。」 「ハイハイ…。まあ頭や内臓に異常は無かったから、後は腫れが引けば大丈夫ね。」 「そうか、じゃあ今から退院できるな。」 「痛みは鎮痛剤で抑えているだけよ。」 「薬を処方してくれれば、幾らでも私が飲ませるさ。」 「一週間程は経過診察をする必要があるわ。」 「毎日箒に乗せて通うよ。」 「全く…、あなたの方が病気ね。生憎私の対象外だけれども。命連寺にでも通って座禅でも組んだらどう?」 「残念ながら遠慮しとくよ。」 あれよあれよという間に退院が決まり、一刻後には○○は箒に乗せられて空を飛んでいた。空の旅は二度目だが意識の上では初体験である。魔力で作られた命綱が前にいる魔理沙に付いているとはいえ、 細い箒一本で飛ぶのは何だか心許なかった。一方の魔理沙は上機嫌そうに○○に話しかけてきた。 「さて、これから○○にはウチの家に入って貰わないとな。」 「えっ…。」 いきなりの話しに絶句する○○。これまで魔理沙とは気の置けない友人という気安い関係を維持していたと思っていたが、恋人をすっ飛ばして一足飛びに婿入りと来たことに驚いていた。 「あの話はもう幻想郷中に広まっているからな。捕まった一人は妖怪のウヨウヨしている人里の外に追放したし、逃げたあと一人も村の外で手足を縛られて崖から落ちて死んでいるのが見つかったから。 もう○○は何も心配しなくていいんだぜ。」 「そんな、いきなり言われても…。」 「もう既に○○は霧雨家の若旦那ってことになっているんだぜ。だからあの時、○○が襲ってきた男を返り討ちにしても、二人殺しても誰も文句を言わなかったんだからな。 もし○○が只の外来人なら今頃はあいつらと○○が逆の立場に成っていたから、私に感謝してくれよな。まあお礼は○○自身でいいぜ。」 黙り込んだ○○に魔理沙が言葉を続ける。甘い毒を言葉に忍ばせて。 「それに暫くは毎日私が付きっきりで看病するからさ。後の事は後で考えたらいいんじゃないか。」 「そうだ…な。」 あまりの目まぐるしさに付いていけずに、考えが止まってしまう○○。今はただ、何も考えずに魔理沙の体に体重を預けていたかった。 感想 いい -- ばかくそまぬけうんこまん (2022-05-24 21 18 51) 名前 コメント
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八意永琳(狂言)誘拐事件3 タグ一覧 八意永琳(狂言)誘拐事件シリーズ 早苗 永琳 鈴仙 阿求 ○○は愛犬のトビーを連れながら、鈴仙と相対した。 「どうも、鈴仙さん」 そうは、○○は言うけれども。 「……はい」 鈴仙はと言うと。いくらかは、遠ざかりと言うか、おずおずとした回答であった。 そのまま、とは言っても。一分未満の時間なのであるが。 鈴仙にとっては、この事件の裏側を全部知っている鈴仙にとっては。この一分未満が酷く長かった。 そうしているうちに、誰かの、強い足音が聞こえてきた。 「○○さん!」 まぁ、彼。書生君だなとは。哀れにも何も知らされていない、彼だろうなとはすぐに鈴仙も○○も思い当たった。 「良かった!来てくれて!!八意先生が大変なんです!!」 「存じていますよ」 ○○はそう言いながら、鈴仙の方を。書生君がいるから繕った表情であるけれども。 裏側を知っている存在からすれば、鈴仙への目配せその物が、や非難判なのである。 「あの、○○さんといつもご一緒に行動されている。寺子屋の、副担任さんは?上白沢慧音さんの、旦那さん。そう、先生さんは?」 「すぐに来ますよ」 実際その通りなのであるけれども。 連れ合いが、○○と先生以外にもいることは。鈴仙からすれば非常に胃が痛くなる事象であった。 「東風谷早苗?」 「そこで会ったんですよ。何か、感じ取られたようで」 鈴仙は警戒感を滲ませるが、○○はどこ吹く風。 極端なことを言えば、ざまぁみろぐらいにしか思っていなかった。 仮に、早苗が色々とわかっていても。稗田に喧嘩を売るほど、浅薄ではない。 「先生、書生君から色々と聞いておくれよ。俺は鈴仙さんと話をしてくる。一旦別れた方が、効率的のはずだ」 それじゃ、またあとでともいうふうな態度で。 ○○は先生や書生君から離れて行った。 鈴仙は、早苗の事を若干は気にするが、まさか○○を放っておくわけにも行かず。 「後で、てゐをそちらに向かわせますので!」 そう言い残した。特に、早苗の方に向かって。 「大丈夫ですよ、私は協力しに来たんです。私も、稗田阿求のまとめた事件簿の、探偵役さんたちの……ファンですから」 探偵役と言う部分に、若干の非難と皮肉を○○は感じ取ったが。 「分かってるよ、それぐらい。その分、俺は阿求のワガママも聞こうと。覚悟を決めているんだ」 誰に聞かせるでもなく、自分自身に言い聞かせるように。○○は呟きながら歩を進めた。 「おや……」 ○○は鈴仙から、こっちですと言われて入った部屋にて、興味深いと言うような声を出した。 「阿求の資料で何度もお名前は拝見しておりますが……お会いするのは」 「そうね、初めてよね。だから自己紹介させてもらうわ。 蓬莱山輝夜よ。上の名前は長いから、輝夜と呼んでもらって構わないわ。貴方達の活躍した記録文書は、私もよく読んでいるわ」 「光栄です」 ○○はそつなく、永遠亭の首魁である輝夜と挨拶を交わすが。 鈴仙は、この場において空気になろうと徹しているてゐだけがこの部屋にいると思っていたので。 しばらくの間、息をうまく吸うことが出来なくなってしまった。 「輝夜さんは、この事件について……」 けれども○○は、狂言誘拐の後始末なのだからそうなるのは自明の理なのだけれども。 どうにも、一足飛びで。早々に事件を終わらせたがっていた。 焦りとは違うけれども、周りに対する配慮は少なかった。 最低限、狂言だろうとの非難はしなかったが。 「知っているわ、狂言だってことぐらい。そもそも、最初に絵を描き始めたのは、私だから」 輝夜は実に簡単に、そして軽く。自分が絵図を描いた、元凶だと告白してしまった。 「あっ、そうなんですか」 ○○の態度が一段階、冷たいものに落ちたのは。言うまでもなかった。 鈴仙は口元に手を当てて、てゐは天井を見上げながら更に空気になろうと徹したり。 「てゐ、鈴仙。私と○○さんを二人きりにして」 幸いと言って良いのかは謎であるけれども。 輝夜はてゐと鈴仙に、優しく気を使ってくれた。 抜け目のない性格のてゐが、真っ先に部屋を出ていって。 「あ、待って。先生さんと書生のあの人が話をしているから……それに東風谷早苗もいるのよ…………」 「嘘だろ……」 無論、抜け目ないからこそ警戒心も高いてゐは。こめかみを抑えて唸るが。 「東風谷早苗は、シャーロキアンと言う人種らしいわね」 永遠亭ほどの場所で首魁を務め続けられる輝夜は、やはり頭の冴えが違っていたし、知識量も同じくであった。 「全てを阿求に任せています。阿求からの究極のワガママが来るまでの暇潰しです」 そして○○は……妙に澄んだ目をしていた。 「殊勝ね」 輝夜の目には哀れみがあった。 「この絵図を描いた者からの哀れみは必要ない……」 この時初めて、○○は輝夜に苛立ちを見せた。 「そうね、実際の事件ならば、貴方はもう少し楽しかったかもしれないけれども。他人の尻拭いにしたって、これはねぇ……」 そう言って、輝夜は○○に対して深々と頭を下げた。 はっきりと口には出していないが。 文脈を、そしてこの事件が狂言であることを知る者達からすれば、間違いなく謝罪の意思であった。 「姫様!?」 突然の謝罪に、鈴仙は面食らうけれども。 「行くぞ、この二人に落としどころを見つけさせた方が良い」 てゐはこの場を立ち去る方が、結果的に全てにとっての利益だと理解して。 鈴仙の服を引っ張った。 ○○の目線では、この話に多少の動きが見えていたが。 「実際に誘拐現場を見てもらった方が早いですよ!!」 先生さんは、この書生君の。実に哀れなことに、主要人物の中でただ一人。何も知らないこの書生君の動きを止めることに苦心してしいた。 「待て、待て待て待てと言っている!!賊の狙いが永遠亭だとは考えなかったのか!?お前もそれなりに優先順位の高い標的だと思うぞ!?」 「だとしても!私よりも高い八意先生が捕まったんだ!何もしないわけには行かない!」 ここで、賊なんていないんだよと。狂言誘拐なのだよと叫ぶことが出来たら。果たしてどれだけ楽であったことか。 しかしながらこの先生も、稗田との付き合いがあるゆえに。稗田の大きさが分かるゆえに。 稗田阿求の手のひらの上にいることを自覚しつつも、踊ることを余儀なくされていた。 「全滅しそうな奴を、放っておくはずがないだろう!?座れぇ!!」 「そうですよ、狙われている人間が不用意になるのは探偵小説でよくあるけれども……実際には見たくありません」 それだけではない。稗田阿求の手のひらと言う、舞台の存在にすら批判的な者が先生の隣には何故かいた。 東風谷早苗だ。 「あの、あなたは?」 書生君が多少いぶかしむけれども。 「稗田阿求の、事件記録の……もっと言えば○○さんと先生さん。二人の探偵のファン……支持者ですよ」 探偵、そしてファンと言う言葉を幻想郷土着の存在である先生に分かりやすく支持者と、早苗が言ったとき。 確かに皮肉気な視線を、先生は早苗から感じたが。 先生は目線を書生君の方向にまっすぐとやったままで、逃げることにした。 「とにかく書生さん、貴方は永遠亭でおとなしくするべきです。狙われているのに、外に出すなんて。 囮作戦をやるにしても、それは今ではありません。光る犬に襲われては……目も当てられません」 光る犬……おそらく、舞台を用意している稗田阿求や。舞台の存在を知りつつ楽しく踊っている○○ならば分かるのだろうけれども。 先生からすれば、それは外の知識だ。外の知識でまくし立てないで欲しかった。 手のひらで踊ることを余儀なく……それだけならまだいいのだけれども。 「八意先生が誘拐されたと気付いたのは何時ごろだ?そして、八意先生は何時ごろに薬を持って永遠亭から外に出た?」 先生は手練れの捜査官のように、慣れた手つきで帳面を取り出して証言を書き留める形を作ったが。それは素振りでしかなかった。 へのへのもへじを描くほどにふざけてはいないが。 帳面の隅にぐちゃぐちゃとした線がいくつも描かれているのは、先生の苛立ちを知るにはもっとも簡単な証拠であろう。 ここまで苛立つのは、この事件が狂言であることもそうなのだけれども。 先生はこの書生君の事が、嫌いとまではいかないけれども、苦手であった。 阿呆ではない、薬学に関してはきっと、八意永琳が連れ歩くのだから、目を見張る才能はあるのだろう。 けれどもそれだけとも言えた。こいつは、人を疑う事を知らない。 『例えば、川で溺れている者がいれば。いますぐこの橋から飛び降りて助けに行くのだろうな。服すら来たままで』 以前に先生は、皮肉でそう言ったことがある。 そのときのこの書生君の答えは、馬鹿みたいに直情的でお人好しと言う他はなかった。 一緒に散歩をしていた○○が少し困りながら、服を着たまま水に入ったら、衣服が水を含んでお前も溺れるとだけ口添えをくれたお陰で。 書生君は、それは気付かなかったと。やっぱり馬鹿みたいに人の良い顔でお礼を言っていた事があったのを先生は思い出した。 『あそこまで人が良いから、幻想郷に迷い混んだのかな』 書生君と別れたあとに、○○はそんなことを言っていたが。 先生からすれば、同じ外からの迷い人でも。 若干悟りながら、稗田阿求の手のひらの上で、気持ちよく踊っている○○の方が。 よほど知的な存在だと考えていた。 続く 感想 名前 コメント
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熱い人だったら、ヤンデレを回避出来るかもしれない。 ○○「あっついよね~」 お空「それはそうだよ。ここは灼熱地獄だもん」 ○○「涼しくなりたいの?涼しくなりたい?すぐやっちゃうから!」 お空「無理だって」 ○○「出来ないって言わない!ねぇ、ねぇ、君んちってどんな家?」 お空「○○も一緒に住んでるから分かるでしょ」 ○○「ちゃんと言えよ!どう?イェイ、イェイ、イェイ、イェイ」 お空「・・・」 ○○「あっ!?だったら、覚悟しとけよ次は。この海なんて海?なんて海?」 お空「それは溶岩だよ・・・」 ○○「シーシーシー、うみみみみみ。えっ!?溶岩?」 お空「そう、溶岩。なんでも包みこんで全て溶かしちゃうの」 ○○「あっついんだね」 お空「・・・○○も溶かしてあげようか?私が包みこんで、なにもかも分からなくなるくらいに」 ○○「なに言ってんだよ!」 お空「本気だよ?」 ○○「本気!」 お空「○○は何もしなくていいよ。直ぐによくなるから」 ○○「本気が、幻想郷で生き残る基本なんだよ!」 お空「何処に行くの?○○。後ろは溶岩だよ。○○は逃げられないよ」 ○○「逃げられないと思ってんのか?そんなわけねーじゃん!」 ○○「溶岩、バンザーイ!!」 お空「ちょっ!?○○危な・・・溶岩を泳いでる!?」 ○○「また会おう!」 お空「こらー!逃げるなー!」 お燐「お兄さんのために蟹を取ってきてあげたよ。ちょっと新鮮じゃないけど・・・」 ○○「腐ってて食えねーじゃねーかよ!」 お燐「そんな・・・。お兄さんのために一所懸命に頑張って取ってきたのに・・・」 ○○「一所懸命!」 お燐「魚の誘惑にも我慢して持ってきたのに・・・。お兄さんでも許さないよ」 ○○「我慢しなきゃいけない時だってあるんだよ」 お燐「じゃあ魚は我慢したからお兄さんへの感情は我慢しなくていいよね?」 ○○「あらぁ?大丈夫かよこれ・・・」 お燐「猫はかまってくれなきゃ、どこかへ行っちゃうんだよ?嫌でしょ?○○」 ○○「俺に伝えてどーするんだよそんなこと!」 お燐「勿論、わたしが淋しく無いように一緒にいてもらうんだよ。ずっとね・・・」 ○○「あ~どうしよう・・・そうだ!お燐!」 お燐「何?○○。今更謝っても遅いよ」 ○○「これ見てください」 お燐「そ、それはマタタビ!」 ○○「お燐が欲しいのは一本のマタタビですか?それとも二本のマタタビですか?」 お燐「も、貰えるんだったら全部欲しいけど・・・」 ○○「正直者!じゃあこれ全部あげちゃう」 お燐「ニャ~ン♪」 ○○「ガッツポーズだ!」 さとり「貴方が地上に帰ろうとしている事は知っています」 ○○「知られちゃった~!?」 さとり「何故地上に戻りたがるのですか?」 ○○「俺がなぜ、地上に戻りたがるか。それはな、明るい空の下に居たいからだ!」 さとり「でも、貴方も外来人の中で唯一忌み嫌われて地下に追放された人でしょう」 ○○「あは~ん」 さとり「まぁ、お空と同じくらいの能力持っている人が人里にいたら大変でしょうから」 ○○「なんで分かってくれねぇんだって思う時あるのよね。みんな俺の思いを感じてくれねぇんだよ」 さとり「そんなことはありません!私は貴方の事をしっかりと理解しています」 ○○「外見より中身で勝負だ!」 さとり「忌み嫌らわれる気持ちがわかるからこそ、私は貴方を守りたいんです。貴方がそれを拒むなら構いません。私は嫌われるのには慣れてますから・・・」 ○○「さとり・・・」 さとり「ですから・・・ですから・・・」 ○○「仲間がいて、自分がいる。分かってくれる人がいる。大丈夫、俺もさとりの気持ち、ちゃんとわかる。だからこそ、これからの人生。心で見て、心で感じていこう。さとりと以心伝心できるくらいに」 さとり「○○さん・・・!」 ○○「俺について来い!!」
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『もしもこの日記を読んでいる奴がいるなら一つだけ約束して欲しい。 これを読んでいるのが俺、つまり○○の友人ならば俺の事を起こさないでくれ。 ○月△▼日 今日はひたすら雨だった。 結構強い豪雨で、外出などもっての他。 しかたないので惰眠をむさぼることにした。 良い夢を見られるだろうか? ○月△▽日 今日も雨だった。 昨日ほど酷くはないがそれでも外出はできなさそうだ。 ずっと眠っていたので身体が少しだるかった。 そういえば昨日は何の見たか思い出せない。 だから更に眠ることに決めた。 ○月△◇日 今日も雨…。 こう連日で雨が降ると活力が失われる。 仕方ないので家の中で軽く運動していたら右手を強打した。痛い。 色々やる気が無くなったので寝る。 そういえば昨日の夢は少しだけ覚えているんだが。 ソレが本当に少しで分からない。 覚えているのは羽?みたいなの。 ○月△◆日 今日はやっと晴れだった。 よっしゃぁ!と思うもつかの間、道は連日の雨でぐっちゃぐちゃ。 それでも少しだけ外に足を踏み出したがぬかるみが酷過ぎて危うく泥にダイブしそうになった。 仕方なく家で待機。 夢の方は少しだけ覚えている。 こう、羽というよりも翼?みたいのなの。 ○月△○日 ………雨。 しかも雷雨。 寝る。 夢の方は何故か連続で同じ夢を見れている気がする。 真っ白な翼が印象的だった。 ○月▽?日 やる気が起きない。 仕方が無いので寝る。外は雨。 夢は順調、天使のような白い翼を今でも覚えている。 鳩か? ○月▽□日 晴れ。 さすがに何日も外に出ていないので出てみた。 一歩外に出たら足が滑って泥にダイブ。 寝る。 夢では金色の髪を一瞬見た気がする。 最近は夢の事ばっからが仕方が無い、やることが無いんだもの。 ○月▽△日 痛ぇ。 どうやら寝違えたようだ。 外は雨。 もうずっと外は雨続きだ。 仕方なく俺は寝る。 そう言えば今日は良い夢を見た。 金髪の少女の夢だ。 もっとも本当に見ただけなのだが。 というより何も出来なかった。すぐに目が覚めたのだから仕方が無い。 ○月▽▲日 仕事帰り。 久々の仕事は体力仕事。 このところ寝てばっかだから全然ダメだった。 身体がなまってる。 最近やけに眠い、ずっと眠りたい気分だ。 夢では例の少女が現れた。 何か驚いている様子だったが所詮俺の夢だ。 なんとなく「かわいいな」とだけ言うと眼が覚めた。残念。 ○月▽▼日 やべぇ、寝過した。 目が覚めたら外は夕陽だった。 諦めよう、昨日の事があるので俺はしっかり運動してから寝た。 そういえば夢の少女に会うなりひっぱたかれた。あれ? そして目が覚めたので二度寝しようとするがなかなか寝付けなかった。 頬が痛い。 ~~~~~~~~~ □月○日 あれから数カ月たった。 今日までつい日記のことを忘れていたのでまた書くことにする。 体力を戻した俺はつい張り切り過ぎて体力を使い果たした。 疲れた俺は風呂に入った後惰眠をむさぼる。 ここ数日、あの夢の少女の事なぜか忘れられない。 □月?日 今日は休日。 しかし全身筋肉痛になってしまったので寝る。 そういえば夢で久々に少女に会った。 なんか信じられないモノを見たような眼で見られた。 ちくしょう、俺の夢のくせに生意気な。 □月□日 今日も休日。 そして今日も筋肉痛。 ちくしょう。 夢の少女は改めて思い出すととてもかわいかった。 しかし俺は決してロリコン趣味ではない。 そんな事を夢の中で叫んでいると後ろから顔を真っ赤にした少女に殴られた。あれ? ▼月▽?日 いかん、ついまた日記をサボってしまった。 それはそうと俺は最近、幻をみるようになってきた。 おっと、誤解しないでくれよ?おれは至って正常。……と言ってもみんなそう言うだろうな。 まぁいい、そんなのはよくあること。 問題なのは例の夢の少女が一緒にいるような気がしたんだ。 しかしそこに意識をやるとやはり何も居ない。 疲れているのかな? ~~~~~~~~ ◆月○日 ……サボり癖が付いてしまったようだ…。 まあ、ちゃんと読んでくれ。といっても読むのは俺だがな。 さて、以前書いた様に俺は最近幻をみるんだ、いや…前よりもひどくなっている。 夢から覚めてもまだ夢の中にいる様な感じにな。 最初の頃はただ寝ぼけているだけだとか見間違いかと思ったんだが違う。 はっきりとソレはいるんだ。 ~~~~~~~~ ……気付けば日記の最終ページを使いきっていた。 仕方が無いので適当な紙に書く。 以前、俺が幻を見るとか書いていたと思うが……。 うん、書いている。確認した。 最近その少女に羽があるように見えてきた。 いや、羽というより翼か…真っ白な天使のような。 思わず綺麗だなと思ってしまったがこれが幻なのがとても悔やまれる。 ちくしょう。 ~~~~~~~~ ……眠い。 圧倒的に眠い。 外の音が煩わしい。 寝る。 そいえば最近例の少女の姿を見かけなくなった。 まぁ、幻だからその内消えるんだろうなとは思っていたが、ちょっとさみしい。 そう思っていると一瞬少女が見えた気がした。 ~~~~~~~~~ 久々に起きている間に少女の幻を見た。 色々俺も末期かと思っていると少女は俺に何かを言おうとしていた。 幻を見るのが幻視なら、その言葉は幻聴か。 なんとなく少女を撫でてみようと手を伸ばすがその手は宙を掻くだけで終わった。 やはり触れないのか…、残念だ。 こんなに綺麗で可愛いのにな。「名前は?」と聞くと小さく名前を言ったような気がする。 まぁそんな感じの事を言うと少女は顔を真っ赤にして消えてしまった。 可愛い奴め。 ~~~~~~~~~ う~ん。 俺は今どっちにいるのだろうか? と言っても解らないだろうから一応書き記しておく。 こっちが夢なのか現実なのかが解らない。 たぶん、白昼夢?みたいなのに成ってるんだと思う。 今いる場所は俺の部屋なのだが、雰囲気が全然違った。 中々に心地よい雰囲気だったのでそのまま眠る。 白昼夢で更に眠る俺、すげぇ。 一瞬少女を見た気がしたが意識が途切れた。 ~~~~~~~~ うーん。 昨日の書き込みが見当たらない。 やっぱり夢だったのか。 気付けば時刻は真夜中。 寝る。そういえば最近人にあって無い気が…。 ~~~~~~~~ なんだか、現より夢の世界の方が心地よい。 よし、………これでよし。 一応此処にも書いておくが経った今日記の表紙に 『もしもこの日記を読んでいる奴がいるなら一つだけ約束して欲しい。 これを読んでいるのが俺、つまり○○の友人ならば俺の事を起こさないでくれ。』 って書き込んでみた。そうだ、ついてだから……。 『こんな現実よりも、夢の世界であの子と戯れる方が楽しい。 あと俺はロリコンでは決してない。』 よし、裏表紙にはこう書いてみた。なんか格好良く見える俺はおかしいのかもな。 さて……おれはもう寝るか…。あの子に会えるかな、できればずっと一緒にいたいな……幻月』 ~~~~~~~ ○○はそれまでの日記に今までの日記代わりの紙を挟み込んで眠りについた。 白い羽が○○の手の上に乗るが眠りに落ちた○○は気付かない。 その日記を手に取り、最初のページから挟みこんだ日記まで全てを読む者がいる事にも。 その日記の拍子に書かれた文字を見て思わず笑みを零す少女。 その背中の白い翼は、○○を包みこもうとする。 「『こんな現実よりも、夢の世界であの子と戯れる方が楽しい。』…か。こっちの世界より私たちの世界が良いだなんて、なかなかに見る目あるじゃない。 ふふ、貴方から願ったのだから連れていってあげるわ…、でももう帰れないけどね…。 ねぇ、○○?ずっと一緒にいましょう?だって、私もそれを望んじゃったんだもの……♪」 少女は、眠り……目覚めることを知らない○○をお姫様だっこで持ちあげると、その唇を重ねて消えた。 その後に残されたのは白い羽と、○○が書き記した日記だけだった。
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…………ツカ…………ツカ…………。 異様に長い廊下に、クセのある靴の音が響く…。 その音を聞いて、私は ―――あぁ、今、メイド長が歩いていったな――― と直感した。 私は現在、大きなベッドの下で息を潜めている…。 ベッドの所有者はフランドール・スカーレット…通称悪魔の妹だ。 靴の音が遠ざかっていってから、私は怖わ怖わとベッドから顔をヒョッコリ出す…。 そこには、私が潜んでいるベッドの他に、散乱したクレヨン…お絵かき帳…ツミキ、洋風のチェアーに大きなテーブル…。 そして熊のぬいぐるみと何だか分からない破片が散らばっていて、窓には黒い鉄格子がガッチリはめ込まれているばかりである。 この有様を静聴すると、どうして私がこんなことをしているのか―――そう疑問に思う人があるだろう。 いや、そう思うのは至極モットモだ。 何故私がこんな奇妙な部屋で奇妙なことをしているのか――それはつまりこういうわけなのである…。 元来、私は外の世界の人間であった。 しかしある日、ふとしたハズみで、このマカ・フシギな『幻想郷』へ迷い込んでしまったのである。 それからの私の暮らしは、散々惨めであった。 訳も分からず訳も分からない場所へ迷い込み…訳が分からない生物(この生物が俗に言う、妖怪というものだと知るのはダイブ先である)に追い回され…。 命カラガラ逃げて逃げて逃げた先、…そこにはマトモな人間が集まっている『人里』なるものが広がっていた。 ダガシカシ、そこへ辿り着いたとテ生活が良くなるハズもなく… 私はひたすら職を探しフラフラしているばかりであった。 そこで知ったのが、今現在私がいる館―――悪魔の館『紅魔館』であった。 紅魔館では、給料と休日がホトンド皆無の代わりに、必ず衣食住を保障してくれるという話であった。 …当時生活に窮屈していた私にとっては願ったり叶ったりの条件であったので、すぐさま準備を施してその館へ向かったのである。 そして私は、えっちらおっちら人里外れの山を抜け、紅魔館へ辿り着いた。 それから四苦八苦して、なんとか館の主―――レミリア・スカーレットから専属の業務を頂いてのである。 ある日、私は紅魔館のメイド妖精から仕事内容とその場所への案内をされた。 私はそのとき、ようやく職を任された喜びと興奮で、これからはきっとなんとか幸福に暮らしていけるだろう。――などという甘っちょろい楽観的妄想を抱いていた。 ――これから、私のその予測は、見事バラバラに四散してしまうのである…。 メイド妖精が――ここがこれから貴方の仕事場所です…と言い、大きな錠前を外してから、地下の黒い扉を開けた…。 すると、その中の森閑とした暗黒から姿を現したのは… 一人の、七色の宝石が生えた翼を持つ、奇妙な金髪の少女であった。 メイド妖精が言うには、この少女はレミリア・スカーレットの妹であり、少々気がふれているため、495年の間ここで幽閉されているのです…ということであった。 そしてメイド妖精はそう言った後―――私を全力で蹴飛ばし、無理やりその狂人の部屋へ、ブチコンだ。 一瞬、私は何が起こったのか理解できなかった―――、しかし、すぐに気づいたのである 「私はこの狂人の玩具にされるのだ」…と。 しかし、私がそう分かった時にはもう遅く、メイド妖精は扉と錠前をガッチリ閉め、とんずらしてしまっていた。 その刹那、私を深い絶望が包んだ。 ―――狂人が、その金髪と翼の宝石を闇に光らせながら、私のもとへ歩いてくる。…ゆっくり、ゆっくりと。 …終わる、私の人生はもうすぐ終わろうとしているのダ……。 狂人と、目と目が合う。 …畜生、どうせ終わってしまうのなら、洗いざらいブチマケテやるぞ……。 狂人が、私の前へ立った(私はこの時、蹴飛ばされていた弾みで手を着いて跪いていましたので、この狂人が異様に恐ろしく見えました)。 …私は、もういっそどうにでもなってしまえ、という心持で口を開きました。 「―――――畜生、この狂人メ…!私はただ、外の世界で静かに暮らしていただけだというのに、何故こんな場所でお前のような気狂いに殺されてしまわなければならないのだ…! 私はただの一度も悪いことはしていないというのに……畜生畜生畜生畜生…!殺すのなら、いっそのこと一思いに殺してしまえ…」 私は涙を巻き散らしながら、必死にこう叫んだのである。 ―――すると、狂人は、一言こう私に質問を投げかけた。 「…フゥン、貴方外来人なの?」 そのときはただ、無残に八つ裂きにされるものと信じてやまなかった私は、その少女の質問に思わず面食らってしまった。 私が驚きと少々の安堵が入り混じった表情で、その狂人――金髪の少女を見上げていると、少女から次の言葉が投げかけられた。 「――外来人なら何か面白い話をしてよ。そうしたら命は助けてあげないこともないからサ」 命は助かる…命が助かる! 私はこのワードに過敏な反応を示した―――絶対に生き残ってやる…人生で初めてそう思ったのである。 少女はまず私を木製のチェアーに座らせ、次に自分自身がテーブル上で私と対になるよう座った。 少女は「サ、サ。早く早く」といかにも待ちきれない様子で私に目の焦点をぴったり会わせた。 ―――その目は、いかにも期待に胸を膨らませた子供の目であり、つまらなければ殺す―――そういった子供ならではの残虐性を孕んだ目でもあった。 私はとりあえず涙をヌグい、そして『面白い話』を必死に想起した。 人一人の命運が、たった一度だけの笑い話で決まるというのは…ナカナカ滑稽なことである。 人間というのは、このような切迫した状況でもツマラヌことを考えるもので… 「この状況こそが一番のジョークではないか…」などという思想が私の脳髄をよぎった